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「あれ?先生、ちょっと肥えたんけ?」


写真は、昨年の「岸和田だんじり祭り」の様子です。

今年も泉州・南河内に“1年で一番熱い季節”がやってきました。
そう、9月~10月はこちらの祭り、「だんじり」のシーズンです。

今やすっかり全国規模で有名になった「岸和田だんじり祭り」ですが、
今年は第3土曜と日曜に行われます。関東や東海の友人たちが今年も見に来るので、私も一緒に行く予定です。


少し、説明しますと…
高さ約4メートルの「だんじり」の屋根の上で団扇を持ち、右に左に軽やかに飛び跳ねるのは「大工方」。進路案内をする役目で、だんじりの花形です。

だんじりの前方には100メートル以上ある綱がついていて、皆でひっぱって町内を曳航(えいこう)するのですが、小さい子供や女性は一番前の方に配置されます。背の高いだんじりは倒れやすく、だんじりのすぐ近くは危険なためです。

だんじりを引く若い女性たちは、祭りに備え思い思いのヘアスタイルをしていて、とても可愛らしいです。岸和田の美容院はどこも、祭り用の「編み込み」スタイルが上手で、祭りの前夜から明け方にかけては予約でいっぱいだそうです。

岸和田だんじりの最大の魅力は、疾走しながら、華麗にコーナーを曲がっていく「やりまわし」です。前梃子(まえてこ)と言われる人が前輪にブレーキをかけて旋回のきっかけを作ったあと、後梃子(うしろてこ)が綱を引いて進入角度を決めていきます。前梃子はだんじりの転倒事故があると一番、怪我をしやすい危険な場所ですが、実は大工方以上にカッコいい役割かもしれません。

だんじりは岸和田だけのものだけではなく、大阪の各地で行われていますが、特に大阪南部(泉州・南河内地方)が盛んです。私の勤める町でも、間もなく夜は提灯に灯が入り、公民館では鉦(かね)や太鼓など、鳴り物の練習が始まります。

私の友人で、南河内のある町の「青年団」で、何十年もだんじりを引いている人がいます。金木犀(きんもくせい)の香りが漂い始めると「祭りの香りだ」とワクワクするそうです。「もうとっくに40才過ぎているのに、いつまで“青年団”にいられるの?」と尋ねてみたことがありますが、彼によるとだんじりに付いて走る体力がある限りは“青年団”なのだそうです。

コテコテの人情に育まれた新人時代
研修医を修了してからの赴任地が、だんじりが盛んな場所ばかりだったせいか、気付けば私はすっかりだんじり好きになっていました。そう言えば、フリーになった今も、身近にだんじりがあるところで働いています。

私の初めての赴任地は、コテコテの泉州のとある町でした。
診察室の外に初めて私の名前を書いた札が貼り出され、緊張して臨んだ外来の初日のことを、私はいまだに忘れることができません。

「○○さ~ん、どうぞ」
「あー。先生、久しぶり。あれ?先生、ちょっと肥えたんけ?」
入ってきたのはご年配の女性でした。明らかに前任の女医さんと私を間違っている様子です。前任の先生は私と違ってとてもスリムな方でした。

「私、△△先生の後任のさかいです。どうぞよろしくお願いします」
「あぁ~。△△先生、辞めたんけー」
「(気をとりなおして)お久しぶりですけど、今日はどないしはったんかな?」
「あぁー。今朝からな、やにでめぇねぶっちゃーて、あかん」
「はい???」

私は生まれも育ちも大阪の南部です。大学時代こそ地方で過ごしましたが、小学校から高校までを南大阪で過ごした関西弁のネイティブスピーカーなのですが、本当にこのときは何を言われているのかさっぱり分かりませんでした。

はりきりすぎて空回り気味な若い私を心配した、ベテラン視能訓練士さんが笑いながら通訳してくれました。「メヤニで眼がねちゃねちゃして、開かないってことですよ」。働くにつれ、泉州地区は独特の文化圏だということを知ることになりました。

その病院では、お昼休みになると、外来では看護師さんや視能訓練士さんがコーヒーを入れて下さって、皆でおしゃべりしながらのティータイムがありました。しばらくしてスタッフの名前も顔もだいたい覚えたのですが、いつも1人だけ知らないオジサンが一緒にお茶を飲んで、おしゃべりしています。

後でこっそり看護師さんに
「あの方、どなたですか?」と訊ねてみると、
「あぁ、あの人は近所の△△さんですよ」という返事。
「近所の???」
その方は病院の近所に住む患者さまでした。

ある日の昼休み、その△△さんが私に
「先生、車のキー貸して」と言うので、なんだろう?と思っていると
「すぐ返しに来るから」と、私のキーを持って出て行ってしまいました。
仕事が終わって車に行くと驚きました。私の車のトランクいっぱいに、
枝豆が入っていました。△△さんの畑で採れた枝豆でした。

こんな風に毎日が驚きでいっぱいの新人時代でしたが、泉州地区は言葉こそ荒っぽいものの、人情に厚い人たちばかりでした。秋のお祭りには、各町のだんじりが病院の前で必ず止まり、入院患者さまやスタッフ一同で見に行ったものです。

あれからずいぶん時間が過ぎましたが、今でもこちらの病院のみなさんとはお付き合いがあります。笑いながら私に通訳して下さった視能訓練士さんは、40年以上を無事に勤め上げ、昨年定年退職されました。その慰労会にも参加させていただきました。

そうそう。
泉州地区で有名なIKECHANという、歌手の方がいます。
数々の“だんじりソング”を歌っておられ、岸和田の商店街のレコード屋さんには特設コーナーがあるほどです。最近はカラオケにも入っていることがあり、「ケヤキの神」という曲は私の十八番です(YouTubeなどでも聴けますので、もし興味がおありでしたら検索してみて下さい)。

カラオケに行ったときには私は必ず歌いますのでお楽しみに!
…って実際にお聴かせ出来ないのが残念です(笑)。


関西在住の女性フリー眼科医、さかいあい氏によるエッセイ。日々の診療や患者さんのこと、趣味や楽しみ、気になる事件など、話題てんこ盛りです。ブログタイトルは、さかい氏が診察を始めるときの決まり文句。
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Author:hublo
ウブロにようこそ!
新し物好きのRobin Morino が、日々感じた事、健康、音楽(カンツォーネ、シャンソン、ジャズ、ボサノバ等)、映画、小説、Photo、旅行、恋愛、社会、政治経済等について徒然なるままに書き綴ります。(独断と偏見、浅学菲才によるボロはご容赦ください)
バンジーも好き!

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